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【4月30日】ラトビアの新型コロナウィルス事情 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2020/05/01 金曜日 15:53:55 JST


新型コロナウィルス感染拡大でご苦労な日々をお過ごしのことと拝察します。当協会も合唱団ガイスマの活動をはじめや全ての会合をお休みしています。1日も早い終息を願いたいものです。

ラトビアでも同様の闘いが続いています。この度、川口泰裕駐ラトビア特命全権大使から関西ラトビア協会に届いたご挨拶に詳しく触れられています。当協会の皆様にも是非お読み頂きたく転載させていただきました。ぜひご熟読ください。

皆さまと元気に再会できる日を楽しみにしています。十分ご自愛ください。


           日本ラトビア音楽協会

<ご挨拶>

令和2 4 30

       駐ラトビア特命全権大使 川口康裕

 

昨年1 月より,駐ラトビア日本国大使としてリガに勤務しております川口です。私が着任した1 年目にあたる2019年は,6 月には,ムールニエツェ国会議10 月には,7 月に就任したばかりのレヴィッツ大統領夫妻が即位の礼に出席のため訪日したことをはじめ,ラトビアの要人が多数日本を訪問し,また,日本からも秋には,日本経済団体連合会,日本旅行業協会のラトビア訪問があり,さらに,2018 年の安倍総理のバルト三国訪問によってはじまった「日バルト協力対話」の第2 回会合がリガで開催されるなど,大変活発な往来のあった年でした。

関西ラトビア協会の皆様には,日本とラトビア関係の発展のため,日ごろより様々な形でご支援いただき,心より御礼申し上げます。

ラトビアの皆様の日本に対する関心は極めて高く,国会の対日友好議連には,100 人の国会議員中,30 人が参加し,友好議員連盟への加入者数としては,第5 位となっています。本年2 月に当地で開催した天皇誕生日レセプションには、ムールニエツェ国会議,両副議,パブリクス副首相兼国防大臣ほか経済,運輸,内務,社会福祉大臣に出席いただき,当地で開催される各大使館主催のナショナルレセプションとしては,もっとも豪華な顔ぶれとなり,各国大使からも賞賛の声をいただきました。

大使館の主催する文化行事には,毎回多数の日本ファンに参加していただいています。こうした政治,文化面での良好な関係は,関西ラトビア協会の皆様をはじめとして,日本とラトビアの友好関係の樹立のため,これまでの多くの皆様がご尽力いただいた賜物であり,これを基礎にさらに発展させていくことが私の使命と考えております。

引き続き,どうぞ宜しくお願い申し上げます。 

こうした政治面,文化面におけるラトビアとの良好な関係にかんがみると,日本とラトビアの貿易額,直接投資額は,ラトビアの経済規模を考慮に入れたとしても,双方向ともまだまだ小さな数字にとどまっております。

ラトビア経済には,OECD 諸国の中でも際立って高い労働生産性上昇率,低い賃金水準,低い税負担に示されるように,高い潜在力とたくさんのビジネスチャンスがあります。また,英語,ロシア語をはじめ,数か国語を駆使する人材も多数います。これらをしっかりと消化し,様々な形でお伝えし,両国の経済関係強化につながるよう努力していきたいと考えております。そのことが,さらなる両国の政治,文化の面における関係強化につながるものと考えております。

さて,今,世界は,新型コロナウィルスとその感染防止のための対策により,経済社会に大きな影響が出ています。

ラトビアもその例外ではありません。以下,ラトビアが新型コロナウィルスにどう対応しているかについて,私の理解していることをご報告したいと思います。

4 29 日までに判明したものとして,

判明した感染者数849 名(人口百万人当たり445 人)

検査を受けた人数 54,811 名(同28,697 人)

死亡者15 名(同8 人)

入院中の患者42 人(うち軽症38 人,重症4 人)

となっています。 

人口当たり感染者数は,日本の4 倍ではありますが,EU27 か国の中では,この時点で22 位であり,足元の伸びも7 日間の平均で1.6%にとどまっています。死亡者や入院患者,とりわけ重症者が少ないことにも注目されます。

ラトビアは,欧州の中では,相対的に新型コロナウィルスの感染防止に成功した国のひとつであり,政府要人の発言にもそうした自信がうかがえます。

それでは,ラトビアは,こうした結果をどのように実現したのでしょうか。欧州各国の事情については,詳しくありませんが,他の主要欧州諸国でとられたようないわゆるlockdown(都市封鎖)というものではなく,

経済活動に配慮したはるかに緩やかなものと考えられます。いくつかの特徴をまとめてみます。

第一に,感染者の極めて少ない初期の段階で,国家非常事態を宣言し,実施に移したこと。ラトビア政府の国家非常事態宣言の発令は,3 12 日であり,その時点で判明していた感染者は,16 名(同8人)にとどまっていました。

第二に,初期の段階で,陸,海,空すべての国境を超える公共交通機関を停止し,全世界に対し,外国からの入国を禁止したこと(3 14 日決定,17 日より実施)。この強い措置により,ラトビアに住む我々は,これまで予想もしなかった「鎖国状態」を体験することになり,館員の離着任をはじめ大きな影響を受けることとなりました。また,通常であれば,日照時間が伸び,明るい陽射しの中で増加するはずの外国人観光客がまったくいなくなり,冬の静かなリガが,春になっても続くことになりました。

第三に,外出禁止措置をとらず,営業停止措置についても週末におけるショッピングセンター及びスポーツジムを除いては導入しない一方で,「2+2 ルール」という強いソーシャル・ディスタンス確保のための措置を全面的に導入したこと。「2+2 ルール」は,室内外を問わずあらゆる公的な場において,適用され,違反した場合には自然人の場合,最大で2000 ユーロの罰金(行政罰)が科されます。2m の距離の中に同居家族以外の人が2 人を超えて入ることが禁止され,法人においてはそれが可能となるよう環境整備をすることが求められます。

このルールが決定された3 月末には,新型コロナウィルスに起因する死者がゼロの状態でした。家庭内や事業者内においては,直接の適用はないとはいえ,このルールは,国民すべてに他人との距離を2m 以上あけることの必要性を意識させることとなり,そのルールの単純・明確さと相まって生活のあらゆる場面に,ソーシャル・ディスタンスを確保する機運が広まりました。生活必需品を扱うスーパーマーケットや飲食店においてもこのルールが適用され,店内放送で頻繁にラトビア語,英語,ロシア語の3 か国語でアナウンスがなされるほか,レジの列をはじめ各所に2m の線が引かれ,顧客同士が2m以内に接近することが戒められています。飲食店では,2m 間隔でテーブルに着席することとなり,小規模店舗 .は,同時に入店する人数が制限されています。

このようにラトビアの特徴は,国民の生命・身体の安全確保のために,対面機会をできる限り減らし,2m 以内での人の接触については全面禁止を行うという対応をとっている一方で,それ以外の規制は最小限に抑え,経済活動や社会サービスはできる限り維持しようとしていることです。

映画館や劇場等の例外を除いて,ほとんどのビジネスは引き続き営業することを許されています。数少ない営業停止とされた週末のショッピングセンターでさえ,園芸店,建設資材店及び眼鏡店等は開店しています。カフェやレストランも営業を続けられ,ソーシャル・ディスタンスの規制によって客が減少した結果,結局は閉店してしまったところもありますが,実際に営業を続けているところもあります。

バス,電車などの公共交通機関では,路線による増減はあるものの全体としては減便することなく,乗車定員を従来の半分にして,それ以上の乗車を拒否する権限を乗務員に与え,車内における乗車券の販売を中止して,乗務員と顧客の接触機会を削減しました。

対面での行政サービスは,最大限しぼりこまれ,例えば消費者保護権利センター(日本の国民生活センターに相当)の行う消費生活相談でも,対面のものはすべて中止され,電話やインターネットで代替しています。

行政機関の97%では,在宅勤務が導入され,49%では,業務のすべてを在宅で実施しています。「2+2 ルール」の良いところは,国民の一人ひとりに社会生活のあらゆる場面で,接触を見直すきっかけを与えていることです。大使館の入居しているエレベータの定員は,4 人に縮小されましたが,実際は,皆できるかぎり,1 名で乗車するよう努めています。買い物の際は,間接的な接触回避のため現金の使用を避け,これまで以上にカード使用が推奨されています。スーパーの中には,午前中の2 時間を高齢者や妊婦等のための専用の時間としたところもあります。

我が大使館でもラトビア流の2+2ルール(2m ルール)を尊重し,執務室の机を2m 以上離し,会議室もいつもより広い部屋を使って相互に2m 以上離しています。ただし,どうしても2m 以内に接近せざるをえないこともあり,当地では珍しいマスク着用と全職員の1 3 回検温というアジア流の対策を組み合わせ,万全を期しています。

ラトビアでもできるだけ在宅を心がけようとの呼びかけはありますが,外出が禁止されているものではありません。公園の散歩も制限されていませんし,逆に,こういう時期だからこそ市民はそれを楽しんでいるとの印象です。

先輩大使が植樹したヴィクトリーパークでは,桜が満開の時期に,桜を楽しむ家族連れやカップルの姿を見ました(写真:本年4 24 日撮影)。「この桜が一番インスタ映えする」といって写真を撮っている声も聞こえました。

ラトビアは,2008 年に世界でももっとも深刻な経済危機を経験し,大規模な財政縮減によりこれから急回復したという経験を持っています。以来,緊縮財政が堅持されてきました。今回の危機は,戦後最大の危機,あるいは,世界恐慌以来の危機で あるとの声を聴くことがありますが、ラトビアにとっては,2008 年の危機の方が深刻に受け止められていたとの声もあります。 

それを象徴するのが,株価指数です。ラトビアの株価指数であるOMX Riga は,3 12 日には底(年末値の79.9%)となり,以来緩やかに持ち直し,4 29 日時点で昨年末値の97.4%まで回復しています。これを日米の代表的な株価指数の動きに比べると,谷が浅く(日米は,おおむね30%の下落),底を打った時期も1 週間程度早い時期となります。 

ラトビアについて,カリンシュ首相から,ラトビアは,ロシア,ドイツなどの大国にはさまれ,い間にnimble な国民性を育んだという説明を聞いたことがあります。今回の新型コロナウィルス対応では,歴史的危機に際し,その国民性を十分に発揮し,先見性のある思い切った対応を行いつつ,国民に対しわかりやすい、メッセージ性のある政策をとることで社会的接触回避を効果的に実現しているように見えます。 

本来の外交活動,大使館の行事などにも大きな制約となっていることは,大変残念ではありますが,ラトビアという国を理解する良い機会となっているというのが私の印象です。これまで以上に任地を愛し,良好な日ラトビア関係の発展のために努めてまいりたいと思います。

 

 

 

 

 
最終更新日 ( 2020/05/01 金曜日 15:56:17 JST )
 
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