【12月28日】石坂廬会員の翻訳力作「マリアン・アンダースン」が高い評価 |
|
|
|
作者 webmaster
|
2018/12/28 金曜日 14:02:31 JST |
ピアニストが温かく捉えた実像(毎日新聞・村上陽一郎氏) 愛をもって辿る黒人歌手パイオニアとの10年(音楽の友) 音楽書の翻訳出版を続ける石坂廬会員の新刊「マリアン・アンダースン」を音楽の友1月号、毎日新聞12月23日が書評を大きく掲載して高く評価した。特に中高齢の音楽愛好家に好評を博している。今では知る人が少なくなったが、トスカニーニが「世紀の歌唱」と称えた不世出のアルト歌手の名唱の数々をLPレコードなどで懐かしむ熱狂的ファンが多い。本書は長く彼女の伴奏を務めたピアニスト、コスティ・ヴェハーネンが、敬愛の念を込めてマリアンの生涯を回想し彼女の人間像を暖かく描いている。 私(徳田)が早稲田グリーに入って最初に歌ったのは黒人霊歌の数々、早稲田グリーの伝統的な得意ナンバーだけに演奏はいつも好評で、自分たちも酔いしれていた。その頃、アンダースンの黒人霊歌を聴く機会があって唖然とした記憶がある。心の叫びに魂を揺さぶられ初めて黒人霊歌の真髄を知らされた。アフリカ大陸から黒人奴隷の労働力としてアメリカに連れてこられた家族が彼女のルーツだけに彼女自身も言われなき差別を受けて育った。そんな彼女の黒人霊歌に感動し、しばし黙してしまった。 訳者はあとがきに「彼女は黒人クラシック歌手の先達として後進の為の道を切り開き、遂には人種の壁を乗り越え、後に続く黒人歌手のロールモデルとなった米国を代表すクラシック歌手である。今では彼女を知る日本人はとても少なくなったが、時の流れのままに忘れ去られてしまうには何としても惜しい歌手」と記している。彼女は10余年にわたって日本を含む世界中に演奏旅行を行い全ての会場で絶賛を博した。ただ母国アメリカでは会場使用を拒否される屈辱的な扱いを受けることも度々あった。しかし1939年のイースターに集まった聴衆は7万5千人を超え、アメリカの首都を完全制覇した。この世界演奏旅行中の様々なエピソードが本書の主要部分となっている。音楽の友は「本書は読書が2倍楽しめる、秀逸な書と言える。訳も言葉が美しい上に、行間に愛が滲んで胸を打つ。」と結び、石坂氏の翻訳も評価した。 多くの写真も掲載されている本書を通読して、無性にマリアン・アンダースンが聴きたくなった。(徳田浩) アルファベータブックス ・税込2160円 前作「身近でみたマエストロトスカニーニ」は下記ページをご覧ください。 http://jlv-musica.net/latnews/index.php?option=com_content&task=view&id=864&Itemid=2
|
最終更新日 ( 2018/12/29 土曜日 15:33:17 JST )
|