【10月26日】岡村喬生の生き様を見た! 石川 了 |
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2015/10/26 月曜日 12:29:54 JST |
岡村喬生の生き様を見た! ~群響創立70周年記念オペラ『蝶々夫人』 石川 了(当協会理事) ネタバレだが敢えて書こう!蝶々さんが自害した後、ピンカートンの目の前でスズキも後を追うラストを初めて見た。オペラ冒頭から最後まで、一部始終を見届けるゴローのあさましい姿も。日本を代表するオペラ歌手、岡村喬生さんが演出する『蝶々夫人』は、明治の人間の生き様はきっとこんな感じだったのではないかと納得させられた舞台であった。 1904年ミラノ・スカラ座の初演以来、世界中で愛されるプッチーニの歌劇『蝶々夫人』は、音楽は素晴らしいのだが、日本人にとってストーリーや舞台設定に違和感があるのも事実。岡村さんは台本の一部を修正し、当時の時代考証に基づいて歪められた日本人像を払拭。今回、実際に岡村さんが演出する舞台を見て、親戚縁者や宗教を捨ててまで愛と誇りを貫く蝶々さん(そしてスズキ)の壮絶な生き様を、現代に生きる私たちにも自然な流れで理解できた。 本格的なオペラ公演としては約20年ぶりとなる群馬交響楽団を振るのは、イタリアを拠点に活躍する若き女性指揮者、三ツ橋敬子。彼女は、これまでオペレッタを指揮しているが、全幕オペラを振るのは今回が初めてという。最初はオーケストラと噛み合わない感もあったが、話が進むごとに音楽は雄弁さを増し、そのドラマティックな音楽作りに心が震えた。 おそらく岡村さんが味わってきたさまざまな想いが、蝶々さんのみならず、スズキやゴローに投影されていたのではないか。私にとって、80代半ばの岡村さんのこれまでの生き様とともに、『蝶々夫人』のあるべき姿をこれから追求し続ける執念すら感じた舞台でもあった。 2015年9月23日(水・祝)ベイシア文化ホール(群馬県民会館)大ホール。 写真は右から岡村喬生さん、筆者、清水光子さん(筆者の義母)、清水實さん(日本オペレッタ協会)
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最終更新日 ( 2015/12/20 日曜日 11:27:35 JST )
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