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【9月23日】山田和樹さんがブザンソン指揮者コンクール優勝 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2009/09/25 金曜日 13:44:11 JST

ワセグリ関係者にとっても最高の喜び!  

  稲門グリークラブ、早稲田大学グリークラブと特別縁の深い山田和樹さん(30歳)が、指揮者の登竜門として知られるブザンソン国際指揮者コンクール(南フランス・今年は51回目)で見事に優勝を遂げた。芸大時代の若々しい山田さん(今も若いが)を知る我々早稲グリOBや、一流指揮者に成長した現在も薫陶を受けている現役にとっては文字通りグッドニュース。同氏と最初の頃の出会いを共有した稲グリメンバー達は、その並はずれた音楽性に驚嘆し、“この若者は近い将来世界に飛び出す器だ!”と話し合ったことがあったが、その予感が早々と見事に的中した。この数日、そんな仲間と会う度にその話が出て心から祝意を表した。 このコンクールは日本人では若かりし頃の小沢征爾氏と松尾葉子氏が優勝している。 

 20世紀後半(平成初期)から、稲門グリークラブは縁あって大指揮者の松尾葉子氏から定期的に指導を受け指揮をお願いしていた。最初は確か、1994年の第25回稲門グリークラブ定期演奏会(1113日・オーチャードホール)で振っていただいたと記憶する。この年、稲門グリークラブは創立40周年を記念して男声合唱曲を公募し、最優秀作品「海」(山口哲人曲)の初演指揮を、恐れ多くも松尾氏にお願いし快諾頂いた。これを機会にその後の定期演奏会はほぼ毎回登場頂いたし、OB四連では大阪までご足労頂いた。メンバーの一部が松尾氏が指揮するオペラ「アイーダ」の合唱に出演したこともあった。

 

 前書きが長くなったが、松尾氏は東京芸大指揮科で教えておられ、その後も練習に若いお弟子さんをお連れになり、稲グリ練習場が彼等の勉強の場になった。やがてそれぞれが演奏会で指揮台に立つようにもなった。その中の一人が21世紀になって登場した山田和樹さん。第27回稲門グリークラブ定期演奏会(1998年10月25日・東京厚生年金会館大ホール)では松尾葉子氏指揮「月下の一群」のピアニストを務めた。この時、芸大2年生だった。

 01年には、稲グリが主催して岡村喬生コンサートを開催した時(1117日・サントリーホール)の合唱指導を務めた。稲グリ指揮者デビューは翌02年、第2回東京六大学OB演奏会(427日・東京芸術劇場大ホール)の早稲田ステージだった(「スペインの歌」石丸寛編曲)。

 

 

 早稲田グリーデビューは03年定期演奏会の「御」(大島ミチル曲~男声合唱とアルト独唱とピアノとパーカッションの為の組曲)、圧倒的名演で「ブラボ-コール」が鳴り止まなかった。以降、山田氏は「縄文=オーケストラ版(大久保和明曲)」(04年定期演奏会)、「青いメッセージ(高嶋みどり曲」(07年東西四連)など、歴史的名演を残し、08年の送別演奏会では卒業生ステージのピアニストとして登場して会場を沸かせた。9月には10日間のブラジル演奏旅行にも指揮者として同伴し現地で絶賛を博した。世界のマエストロになっても早稲グリとの蜜月は続くに違いない。

 

 

これは、ブラジルへ団長として同行した大泊巌早大教授(早稲田グリーOB)報告の一部。「部員たちのテンションが下って練習に気持ちは入ってないと感じた山田指揮者が強烈な一喝“今夜のコンサートはキャンセルしてお客さまに切符を返しなさい!”。静まり返った団員達に緊張が甦り、ダイナミックな躍動感を取り戻した。ある時は指先での繊細な表現まで山田氏の面目躍如。プロの指揮者としての要求を貫く山田氏と、それに応えるグリーメンの格闘は壮絶だった。山田氏は燕尾服に身を包んで登場し、ある時はむせび泣くが如く、ある時は怒涛の如き激しさで、明らかに水準の高い音楽が作られ、演奏が終ると聴衆は嵐のようなスタンディングオベーションで絶賛、涙を流した人もいた。翌日、山田氏は“早稲グリは日本で一番上手い合唱団でなければならないし、それが出来る筈なのでつい練習に厳しく入れ込んでしまう”と語った。名指揮者からこんなに肩入れしてもらえる学生たちは本当に幸せだ」。

  

ブラジル演奏旅行(2008年)で早稲グリメンバーと談笑のひととき(中央の赤縞シャツ姿が山田氏) 

現地の若者とも音楽談義する山田氏

 

山田和樹プロフィール

1979年神奈川県生まれ。幼少より木下式音楽教育を受け、ピアノ・ソルフェージ・合唱を学ぶ。中学生の頃から合唱指揮を始める。神奈川県立希望が丘高校では吹奏楽部に属し学生指揮者を務める。1997年音楽大学指揮科入学。指揮法を小林研一郎、松尾葉子の両氏に師事。ゲルハルト・マクルソン氏に指導を受ける。これまで。ブルガリアVARNAフィル、日本フィル、オーケストラアンサンブル金沢、神奈川フィル、名古屋フィル、セントラル愛知交響楽団、仙台フィルなど数多くのプロ団体を指揮する他、全国50を越えるアマチュア団体を指導した。弱冠22歳でベートーベン交響曲全曲演奏を果たす他、シューマン、ブラームス、ボロディンの交響曲全曲演奏も行っており、幅広いレパートリーを持つ。その指揮ぶりは「ロマン派作品が得意なようで、今どき珍しいほどオマンティックな音楽をつくる。明晰で表現意欲も旺盛」(音楽現代)と評された。2005年、東京混声合唱団コンダクター・イン・レジデンスに史上最年少で就任。フォンティックよりCD3枚をリリース。2006年、四国初のプロオーケストラである瀬戸フィルのミュージックアドヴァイザーに就任。東京交響楽団、九州交響楽団とも共演した。 

 

早稲グリ万歳!! 山田和樹

(早稲田大学グリークラブ100年史・2003年より転載)

 

 僕は一度だけ、芸大の仲間で作った「男フィル」を指揮したことがある。名前の通り、ゼンバーは全員男。取り上げた曲が、チャイコフスキー(同性愛者)だったこともあって、独特な異様な空気の中での練習・本番となった。練習初日の前までは、さぞかし「男らしいゴツゴツした音が出てくると予想していたが、意外や意外、とても艶のある法悦な音が紡ぎ出されていく。たとえ強奏であっても、常にデリケートさを含んでいて、繊細さを欠くことはなかった。最高峰であるウィーンフィルがいまだ「男」に拘ることに大いに納得した出来事だった。

 「早稲グリ」も異様な団体である。あの練習場の独特の空気は何だろうか。同世代の男から向けられる視線は決して甘いものではない。「指揮者」としてだけではなく、一人の「男」として見られているのだ。しかもその視線から逃れることは出来ない。逃げたら負けなのだ。真剣勝負。そうか、ここは「男」をみがく道場なのだと思った。

 「オラショ(御)」の練習はとても楽しいものだった。練習の度に変化していく曲、秒単位で変わっていく歌声、「オラショ」に寄せるそれぞれの想い・イメージ…。僕に長崎まで足を運ばせたのは、曲そのものよりも皆の熱意が大きいと思う。出来ることは全てしようと思ったのだ。本番では「男」どもの熱く溢れる想いが見事に炸裂して感激的だった。皆と「オラショ」が出来たことを本当に幸せに思う。卒団する皆には、この「男」道場で培ったパワーで、何事も乗り切って欲しい。現役の皆には、さらに修行に精進して、道場自体を磨くことを忘れず、長い伝統からいろいろなものを学びとっていって欲しい。僕自身が学生時代に経験できなかった「男」道場にいる皆を心から羨ましく思う。早稲グリ万歳!!(第53回早稲田大学グリークラブ送別演奏会プログラムに掲載)

 

100周年!「栄光」とは早稲グリのためにある言葉  山田和樹

(同100年史メッセージから転載)

 

 「100周年の四連と定期の両方の指導をお願いしたい…」。このような栄誉を私なぞに与えられていいのだろうか。

 早稲グリと私の関係は2003年に始まったばかりだから、100年という長い年月からすればそれはごく僅かな期間に過ぎず、こうして寄稿させて頂くこと自体おこがましい気さえする。

 考えてみると、早稲グリ100年の歩みとは創造の歴史ではなかったか。常にハングリーに刺激を求め続け、代ごとに独自の強い主張とキャラクターを持つ。早稲グリにしか出来ないことが、昔も今も確かに存在しているように思う。ここでは現代日本人に失われがちと言われる「誇り」を実感することも出来るだろう。

 指揮者としてまだまだ若輩者ながら、これからも彼らと精一杯暴れてみたいと切に思っている。駅前で肩を組みながら声涸れるまで歌う彼らの姿こそ青春なのだろうか。「栄光」とは早稲グリのためにある言葉、といったら言いすぎだろうか。未来永劫、早稲グリに栄光あれ!!

 

山田和樹さん、今回の快挙は貴方の力なら当然だと受け止めましたが、早稲グリOBの一人として本当に嬉しくなり、このページを創りました。本当におめでとうございます。遠からず世界のマエストロになっても、早稲グリをお忘れなく。【Latvija編集長 徳田浩(早稲田大学グリークラブ100年史編集長)】 

最終更新日 ( 2009/09/30 水曜日 08:59:24 JST )
 
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