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【7月27日】盛会だった東西四連OB演奏会 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2009/07/27 月曜日 22:58:34 JST

 17回東西四大学OB合唱連盟演奏会(726日 13時~1540分)

出演者300余名 会場は超満員 男声合唱健在を実感!

 

会場はすみだトリフォニー大ホール。さすがに超満員の盛況でした。チケットがなく、断念したファンも数多くいたようです。過日の現役四連演奏会は、同志社、慶應などのメンバー数が少なく、いささか淋しさを感じましたが(76日に掲載)、この日は早稲田(稲門グリークラブ)の70名が一番少なく、関西学院(新月会)、同志社(クローバークラブ)、慶應(ワグネル・ソサィエティーOB合唱団)はそれぞれ80名を超えるメンバーが熱演、各団とも圧倒的なボリューム感で歌へのひたむきな情熱を聴衆にアピールし、自らも素晴らしい仲間たちと歌い続ける喜びを満喫していました。昭和30年代に卒業した(筆者と同世代の)メンバーの多くも健在、20年代卒業のメンバーもチラホラ目につきましたが、四団体とも暗譜演奏はさすがでした。合唱界は男声合唱の凋落ぶりが目立つようですが、この演奏会の熱気に触れると、心配は無用という感じがしました。

 演奏は四団とも甲乙つけがたい熱演でした。四団それぞれが、“自分たちが最高だった!”と思った筈です。

この演奏会は1977年(昭和52年)から2年に一度、関西、東京交互で開催され、次回は再来年(2011年)、関西で開催されることになります。幹事は持ち回りで、8年に1度回ってきます。

 現役時代は四大学合同演奏会に最も燃え、競争心をむき出しにしたものですが、OB四連はお互いの友情を暖め、一層の親睦を図ることが趣旨です。それでも、今年のプログラム挨拶に“これからも楽しく競い合いながら歌いつづけます”とちょっぴり本音も…。伝統・実力とも伯仲の四団が、良い意味で競い合う心があるから、こんな見事な演奏会を開けるのでしょう。筆者は残念ながら今回は客席でしたが、やはり、あの舞台で一緒に歌いたいという気持ちがムラムラと甦ってきました。【Latvija編集長 徳田浩】

 ※冒頭の写真は前回(第16回)の開幕ステージ(エール交歓)

      新月会

男声合唱組曲「雪明りの路」(詩:伊藤整、曲:多田武彦、指揮:広瀬康夫)

 1954年(昭和34年)に関学グリーが委嘱初演したこの名曲を、80名余が一糸乱れぬ見事な演奏で全聴衆を完全に魅了した。伝統の関学トーンに更に磨きがかかり、長いピアニッシモの美しさ、ベースのユニゾンの豊かな音楽性などなど、これぞ関学グリーの真髄と言える演奏だった。指揮者の広瀬氏は、この作品の魅力を完璧に演じた。初めて80人の関学グリーを聴いた隣席の友人が、あまりの美しい響きに、ただただ呆然と感嘆していた。当然のように“ブラボー!”の声が飛んだ。

      稲門グリークラブ

男声合唱曲「岬の墓」(詩:堀田善衛、曲:團伊玖磨、編曲:福永陽一郎、指揮:西田裕己、ピアノ:前田勝則)

 混声合唱の名曲を、1975年(昭和50年)に早稲田グリーが福永氏に男声版編曲を委嘱して初演した。この時の学生指揮者が西田君で、福永氏から直々に受けた薫陶に加えて、卒業後30余年の指揮者としての研鑽が加わり、極めて音楽性豊かに、起伏に富む15分余のドラマを演じた。西田君と同期で初演仲間の影山日出夫君(NHK論説委員でお馴染みの顔)も、自信満々の表情で熱唱していた。地から湧き出るようなフォルテッシモの力強い響きは、さすがにこれぞ早稲田、強いタッチのピアノをかき消していた。反面、70名によるピアニッシモの響きにやや課題を残したか。ちなみに、この曲は1983年(昭和58年)の第4回四連OBで演奏し、筆者もオンステしただけに懐かしさも格別だった。出来は今回が圧倒的に良かったと感じた。それでも身内の演奏を聴くのは心臓に良くなく(特にアカペラの複雑なコード進行の後にピアノが加わる部分など…、余計な心配だが!)、やはり舞台で歌っている方が良いとしみじみ思った。

      クローバークラブ

「魂の叫び~Afro-American Spirituals~」(指揮:小林香太)

 同志社が伝統的に最も得意とする黒人霊歌集。80余名が黒のシャツ・ズボン姿(数人が赤シャツでアクセントを付けた)で若々しく舞台いっぱいにひろがり、動きも加えて歌いだすなど、先ず視覚で魅了した。男声合唱ファンなら一度は歌ったことのある作品で構成し、楽しさいっぱいのステージ(ちなみに筆者は高校時代に同志社グリーの黒人霊歌を聴いて感動し、大学では男声合唱をやとうと決めた)。早いテンポの部分でややリズムの不揃いがあったが、古いメンバーも含む80名の動きが伴う舞台となると止むを得ないか。ソリストを含む若いメンバー数人が楽譜を持っていたのは、演出が良かっただけに視覚的に少し残念だった。

      慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団

男声合唱組曲「過ぎし日」(詩:北原白秋、曲:多田武彦=本年度委嘱作品、指揮:畑中良輔)

 慶応義塾創立150周年(2008年)を記念して、今年誕生した作品でこの日が初演。“源平将棋”“水ヒヤシンス”“糸車”“汽車のにほひ”“見果てぬ夢”“秋の日”の全6曲を一度も音取りせずに一気に歌いきった。ワグネルの並々ならぬ気迫と自信を感じた。ただ、多田氏76作目の男声合唱組曲というこの作品の評価は、この日の演奏からは正直なところ判断できなかった。演奏もややメリハリに欠けた気がしたが、この詩の世界を知らない若者たちが、この新しい作品をどう受け止めるだろうか…、注目したい。

演奏前に78歳畑中氏が延々と曲目解説したのは(約8分間)蛇足に過ぎた。

      合同演奏

男声合唱曲「枯木と太陽の歌」(詩:中田浩一郎、曲:石井歓、指揮:佐藤正浩、ピアノ:前田勝則)

  昭和30年代、大学男声合唱全盛時代の作品で、誰もが一度は歌ったことがある名曲。大人数でフォオルテッシモを叫ぶ快感は格別だった。300名を超す合同演奏には格好の作品でもある。指揮者の“もっとフォルテを!”という大きなゼスチャー・指示に、全員が存分すぎるほど応え、正に会場が割れるようなフォルテッシモだった。まあお祭りのエンデングだから細かいことは言うまい。だた、ピアノは2台にすべきだったかも知れない。音楽がもっと壮大になったと思う。

  
最終更新日 ( 2009/07/29 水曜日 18:06:57 JST )
 
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