制癌剤開発でラトビア共和国名誉博士に

小林幸雄氏(大鵬薬品(株)会長


 
モスクワの全ソ・ガン研究所へ訪問した時、総長の部屋にアンプルの試供品があった。私は薬屋なので総長の説明でそれがどんなものかをすぐ理解でき、ラトビアの有機化学化学研究所で開発されたことを知りました。その時はラトビアがどこにあるかも知らなかったが、私は大変興味を持ち、1968年の暑い時モスクワから夜行列車でリガの研究所を訪れた。

 その後私は新薬の共同開発で10数回リガに行った。皆さん方の中でも一番多く行っていると思う。
行くたびに印象深く素晴らしい町。当時はまだソ連の一部だったので、人々の表情もどこか圧迫されたような暗い感じがした。しかし1991年独立以来人々の表情も明るくなり、パーティの席上でも素晴らしい歌が聴けるようになった。

 「百万本のばら」がラトビアの歌と知らなかったが、現地の人々がハミングで口ずさんでいたメロディーが印象に残っていた。加藤登紀子さんが日本でこの歌を広めた時、記憶にあるメロデーで驚いた。その時初めてラトビアの歌であることを知った。

 先週の大阪女子マラソンでラトビア選手が優勝するなど、ますますラトビアの知名度が高まってきた。

 私ごとで恐縮ですが、抗癌剤開発成功でラトビア共和国から名誉博士号を頂いたことを付け加えて挨拶にしたい。

※ 小林氏は1960年代の終わり頃、旧ソ連にあったラトビアの制癌剤技術に着目し、副作用が少なく効能の高い制癌剤を開発された。大手製薬会社が化学療法に見向きもしなかった時代に、それを見直すきっかけをつくり、癌患者の負担を大きく軽減し、福音をもたらされた。


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keisuke Suzuki(C) 2005