【3月30日】風呂本氏、オータニミュージアムコンサートに出演(4/12) |
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2009/03/30 月曜日 22:20:05 JST | |
第129回オータニミュージアムコンサート「風呂本佳苗 ピアノコンサート」 ”夜を聴く”のタイトルで、先ずベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第14番(月光)」を弾いた。澄んだ音色である。丹念に音を積み重ねながら、巧みなデュナーミクで幻想的な雰囲気と同時に不安を内包する情熱を描き出した。続くドビユッシー(月の光が降り注ぐテラス)、バルトークの(夜の音楽)、ラベル(夜のガスパール)から<オンディーヌ>で憧れと透徹、不安と錯綜の同居する”夜”特有の感性を演出できたのも(月光ソナタ)で提示した奏法の効果だろう。 後半は「夜想曲」の曲想につながる小品が配置された。フォーレ「ノクターン」に続いてスクリャービン「詩曲ーー夜想曲」、リスト(巡礼の年)から<ジュネーヴの鐘>、山田耕筰の<月光に棹さして>、最後にラトビア出身の作曲家、ヤーセプス・ヴィートリス(月の光の下で)「2つの小品<眠れわが子よ><波の歌>で締めくくった。純化された響きだけでなく、異化された響きも含む選曲だが、それは波乱に翻弄される現在の世界を暗示し、聴衆の思索を誘発した。真摯で暖かい演奏がそれを可能にしたのだろう。(1月3日・兵庫県立芸術文化センターホール) (嶋田邦雄) |