堀口大樹岩手大准教授(ラトビア語教室講師)から近況報告 1月19日から24日までロシアのサンクトペテルブルグに学会出張で行ってきました。 ラトビア語の動詞アスペクト(拙書86p、接頭辞の有無による完了・不完了)をロシア語と対照しました。 また岩手大学が協定を結んでいる、同市内の文化芸術大学にもお邪魔しました。 行きの飛行機は、新体操の日本代表選手と隣になり、少しお話ができました。 ロシア人コーチの元で1か月の長期合宿をロシアで行うようでした。 ペテルブルグでは、言語学の同僚のロシア人・ラトビア人夫妻の招待で、 在ペテルブルグのラトビア総領事館とサンクトペテルブルグがあるレニングラード州が主催の 独立記念日のレセプションに参加をする機会も得ました。 ちょうどロシアに来ていたラトビアのカウンターテナーのSergejs Jēgersの演奏があり、 彼によるラトビア国歌斉唱、それに続いてロシア国歌が録音で流れた後、 イタリア歌曲やラトビア語の歌が30分ほど歌われました。 州との共催のためなのか、ロシア国歌も流れたのが印象的でした。 会場は、ロシアの皇族が所有していた宮殿で、現在は文化行事が行われる場所です。 ペテルブルグ在住のラトビア人の他、州のえらい方、地元の各国総領事館の代表、企業家も招待されていました。 この同僚夫妻には4才の娘さんがいるのですが、 お母さんとはラトビア語、お父さんや父方の祖父母とはロシア語で話しています。 圧倒的な時間をロシア語の中で生活しているため、ラトビア語を話している時に 詰まることがあったり、ロシア語の構文を引きずったラトビア語を話す場面があり、 (例:ラトビア語で「太鼓を演奏する」はspēlēt bumbasですが、動詞と目的語の間に前置詞を必要とするロシア語のigrat' na barabanaxにつられた spēlēt uz bumbāmと言い、お母さんに直されていました) 幼児の言語習得の観点から非常に興味深かったです。この現象は「干渉」といいます。 また、12月31日から1月5日まで、オーストラリアのアデレードで行われるラトビア人サマースクールに参加をし、日ラト交流に関するミニレクチャーをさせていただきます。 オーストラリアに亡命・近年移住したラトビア人の子息(主に高校生)のサマーキャンプで、彼らにとっても英語の日常の中でラトビア語を集中的に話す機会です。 この件については、またご報告をさせていただきます。 ところで、Lielvārdeというラトビアの一地方は、民族衣装の帯(josta)の模様が意味を持っているとされることで有名です。 以前ラトビア語教室で取り上げた歌Tautas laiksにも登場します。 最近ラトビアの友人から素敵なプレゼントを頂きました。 そのプレゼントは、Lielvārdes josta 「Lielvārdeの帯」ならぬ、 Lielvārdes siksna「Lielvārdeのベルト」です。(終わり) 堀口大樹
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