Home   トピックス   ラトビア語教室  
2024/04/20 土曜日 16:04:05 JST
Home arrow トピックス arrow 2011年10月のニュース arrow 【10月11日】連載「音楽立国ラトビア讃歌」最終回
メインメニュー
Home
トピックス
協会案内
ラトビア音楽情報
協会ニュース「latvija」
検索
お問合せ
ラトビア語教室
協会合唱団「ガイスマ」
管理用エリア
【10月11日】連載「音楽立国ラトビア讃歌」最終回 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2011/10/11 火曜日 14:13:09 JST

  音楽立国ラトビア讃歌(付録2・最終回)

                                日本ラトビア音楽協会会長 藤井 威 

 バルト三国、北からエストニア、ラトビア、リトアニアは、わが国では一まとめにして話題にされることが多いのですが、もともとは、三国それぞれ独自の歴史、文化、伝統を持つことを、前回、簡単にご説明しました。とりわけ、一番北の国エストニアの言葉は、フィン・ウゴール語族に属し、ラトビア、リトアニア二国の言葉が、印欧語系のバルト語族に属するという大きな違いに注目して下さい。また、北側の二国ラトビアとエストニアは、20世紀に入るまで一度も民族統一の独立国家を形成した経験を持たず、周辺の強国、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、ロシア、ポーランドに次々と分割統治されてきた忍従の歴史をたどってきたことを、我々日本人には想像できないことでしょうね。このバルト三国の地域にも民族意識が芽生え、強まり、そして自由と独立への願いと動き顕在化してくる19世紀には、地域のほとんどがツァーリの独裁的統治下にあるロシア帝国の支配に服してきました。このような政治情勢の下で、三つの小さな民族の住むこの地域が、バルト三国として一括して扱われるようになるのです。

  歴史には常に、思いかけない転機があります。バルト三国の真ん中にあるラトビアが経験した三つの転機、悲願の独立達成、悲劇の独立喪失、そして歌う革命による自由の回復については、第1回から第8回まで詳しくお話をしてまいりました。この波乱の物語には、「音楽」が基調低音として脈々と流れていたことも指摘してまいりましたが、このような歴史の流れは、大勢として三国に共通していたのです。20世紀に入ってすぐに勃発した第一次世界大戦は、欧州の歴史の主役であった三つの大帝国、ロシア、ドイツ、オーストリア=ハンガリーの王朝を崩壊させます。戦乱と政治的混乱の中で、バルトの三国はそれぞれ独立宣言を発し、エストニアとラトビアは史上初めて、リトアニアは久し振りに民族の統一国家形成に成功するのです。  

  ラトビアについて言えば、19173月のロシア2月革命、同年11月の10月革命、翌183月のドイツ・ソビエト講和条約(ブレスト・リトフスク条約)、同年11月のドイツ敗戦とドイツ帝国崩壊という大戦末期の混乱状況の中で、1118日には、待望のラトビア宣言が発せられ、19191月にはわが国も早々に仮承認に踏み切り、192131日、正式に承認します。でもラトビア民族が史上初めて確立した民族の統一国家は、1939年のスターリン赤軍の侵入、ナチス・ドイツの占領、赤軍の再占領、ソ連編入という悲劇に見舞われるのです。そして長い忍従の月日を経て19918月、「歌う革命」による歓喜の独立回復を成し遂げ、わが国も同年9月、これを承認します。そうです。今年2011年は、日本のラトビア正式承認90周年、ラトビア独立回復と日本・ラトビア国交再開20周年にあたる記念すべき年なのです。

  駐日本ラトビア大使館及び日本ラトビア音楽協会は、この記念すべき年を迎え、来る1112日に第二回ラトビア音楽の集いを共催いたします。いろんな楽器の演奏、独唱、合唱による古今のラトビア音楽を心ゆくまで楽しんでいただきます。我が音楽協会の合唱団ガイスマも、日頃の練習の成果を披露いたします。終了後は、駐日本ラトビア大使ほかの大使館員、音楽協会のメンバーの方々」、音楽の集いの演奏者の方々、それに、演奏会をお楽しみいただいた方々も加わって、レセプションも予定しています。(参加費用5000円の予定)

  ラトビアの南北に所在するエストニア、リトアニアの両国も、近現代の歩みを見る限り、ラトビアとほぼ同じ「大勢としての歴史の流れ」を経験し、「バルト三国」として一まとめに扱われることも多いと書きましたが、この両国と日本との関係にとっても、ラトビア・日本関係と同様、2011年という年が記念すべき年であることは全く同一です。このことを記念して、バルト三国の友好増進に努力している団体の協力の下、116日より12日までの一週間、日本・バルト三国友好祝祭週間として、いろいろなイベントを開催することを計画しています。三国関係の展示会、講演、フィルム上映、種々のワークショップ・レクチャー、三国グッズの販売などであり、先に述べた「ラトビア音楽の集い」がフィナーレとなります。

  私のつたないエッセイ「音楽立国、ラトビア讃歌」も合計10回、今回をもって一区切りつけさせていただきます。今度もラトビアに関すること、あるいは日本ラトビア音楽協会の活動に関して、折に触れて報告させていただきたいと思っています。ここまでお読みいただいた方々も、この協会に参加して、古い文化と伝統を保存し不屈の歴史を刻んできた小国ラトビア、音楽立国ラトビアとの友好交流に参加したいと思われる方々は、是非ご連絡ください。会員一同、首を長くしてお待ちしています。(終り) 

【編集室から】この連載は下記を順次クリックすると全部読むことができます。藤井威会長のプロフィールと写真は第二回に掲載してあります。

  • 【6月18日】藤井会長がラトビア讃歌連載開始1  【6月30日】藤井会長連載 音楽立国ラトビア讃歌2 
  • 【7月12日】藤井会長の講演会と好評連載第3回  【7月28日】藤井会長連載「音楽立国ラトビア讃歌」4 
  • 【8月10日】藤井会長連載「音楽立国ラトビア讃歌」5 【8月17日】藤井会長「音楽立国ラトビア讃歌」6 
  •  【8月28日】藤井会長「音楽立国ラトビア讃歌」7  【9月5日】藤井会長「音楽立国ラトビア讃歌」8 
  • 【9月13日】藤井会長の好評連載(付録1)
  •  

     
    最終更新日 ( 2011/10/11 火曜日 14:16:02 JST )
     
    < 前へ   次へ >
    ラトビア関連写真(写真随時追加)
    llimage004.jpg
    サイト内記事検索
    人気記事