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【7月28日】藤井会長連載「音楽立国ラトビア讃歌」4 PDF プリント メール
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2011/07/27 水曜日 21:28:27 JST

音楽立国ラトビア讃歌(4) 

           

                    日本ラトビア音楽協会会長 藤井 威

  

 ラトビア民族が長年の苦難と忍従の末にやっとかなえた貴重な独立と自由、それが実はラトビア現代史の悲劇的展開の始まりにすぎなかったことなど誰が予想し得たでしょうか。  悲劇の序曲は、1929年の米国ニューヨーク証券取引所における株価の大暴落と、それに続く深刻な世界不況、及び、1932年のドイツ総選挙におけるナチスの大躍進、翌年のヒットラー政権の成立でした。沈滞と対立、そして再び世界大戦へ、人類史上稀にみる暗黒の世紀の序章が奏でられます。

  1939年、ソ連とドイツの独裁者、スターリンとヒットラーの間で不可侵条約が締結され、世界を驚がくさせます。この条約には両国外相の名で呼ばれるモロトフ・リッペントロップ協定という名の秘密協定が附属していました。この協定の中で、フィンランド、エストニア、ラトビアをソ連の、ポーランド主要部、リトアニアをドイツの勢力圏とすることが、当事国の全くあずかり知らぬところで決められていました。史上悪名高い領土分割協定です。この協定成立直後、ナチスドイツの機甲部隊は電撃的にポーランドに侵入します。第二次世界大戦の勃発です。ソ連もまた、フィンランド、エストニア、そしてラトビアに最後通牒を発し、赤軍の大軍を侵入させます。小国ラトビアに何ができるでしょう。抵抗中止、忍従、そして独立と自由の喪失が続きます。ラトビアに成立したソ連の傀儡政権は、「ラトビア・ソビエト共和国」を宣言します。そのあとに続くラトビア悲劇の歴史は、詳細に書くにしのびません。簡単に箇条書きにしますので、当時のこの小国の状況を思いやってみて下さい。

  まず第一に、スターリン政府はこの国の指導的な人々(政治家や文化人などの知識人)及び地主や企業経営者などを大量に殺害し、あるいは貨車に詰め込んでソ連北部地域に強制連行します。ラトビア史上、この年は「ホリブル・イア」として永久に記憶されるのです。

  そして第二に、ナチスドイツの対ソ開戦とともに、今度はナチス軍がこの小国に殺到します。ドイツ軍はロシアからの解放をもたらした、そう考えるラトビア人も多かったと言いますが、もちろん実態はそんな甘いものではありませんでした。ユダヤ人の大量殺害、そして、ラトビアの若者のナチス軍への徴兵などが続きます。あの「自由大通り」もアドロス・ヒットラー通り」と改名されます。

  そして第三に、反撃してくるソ連軍とナチス軍の戦いに際して、ラトビア人は両者に徴兵され、相互に戦わされるという事態に至ったのです。

  第四に、ナチスドイツの完敗で第二次大戦が終結した後もソ連軍による占領が続き、ラトビアはソ連邦を構成する一共和国として編入されます。勝者の連合国側は、どの国もこの小国をかえりまる余裕はなかったのです。この間、多数のラトビア人は海外への亡命を余儀なくされます。

  そしてここにラトビア民族の自由への苦闘の長い年月を再び耐え忍ぶことになるのです。

  リガ市オールドタウン市庁舎広場とブラックヘッドギルド  中世から近世にかけてハンザ同盟自由都市として繁栄したリガ市の中心広場は、ここ市庁舎広場であり、華麗なマニエリスム様式のブラックヘッドと旧市庁舎が偉容を誇っていた。第二次大戦中これらの建物はナチスの爆撃により甚大な損害をこうむり、ソ連統治下でこれらの文化的価値を認めない当局により完全に撤去された。 1991年独立後、新政府は苦しい財政の中でこの広場の復興を計画し、ブラックヘッドギルドは2000年、旧市庁舎は2004年に完工した。(注)ブラックヘッドとは冒険商人たちのうち独身又は単身赴任の人々を言う。

 

  2004年完工の旧市庁舎  

  

20065月の状況(左側の塔は聖ペーター寺院)

   

 完成1年前の19996月の状況

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最終更新日 ( 2011/07/27 水曜日 21:38:06 JST )
 
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