作者 webmaster
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2010/12/15 水曜日 19:36:23 JST |
元NHKのモスクワ支局長で、今もジャーナリストとして多彩に活躍を続ける小林和男氏から、民間文化外交の素晴らしを報じる便りが届きました。日本伝統芸術の粋ともいえる“能”観世流の人間国宝・坂井音重氏の至芸に、多くのロシア人から深い敬意と高い関心を寄せられているという話題ですが、貧困な政治の対ソ外交をカバーできるのは民間の文化外交であることを痛感させられました。小林氏はかつて稲門グリークラブがロシアへ演奏旅行した時、現地で取材して日本全国にニュースを流してくれた人ですが、“ラトビア歌と踊りの祭典”を取材した「祖国」など、優れた音楽ドキュメントを数多く制作しています。【Latvija編集部】 日本ラトビア音楽協会の皆さま
この10日来日中のナルイシキン・ロシア大統領府長官と民間外交推進協会の朝食会があり、その席で人間国宝観世流能の坂井音重さんにメドヴェージェフ大統領からのロシア友好勲章が手渡されました。外国の民間人に与えられるロシア最高の栄誉です。坂井さんは私と同じく民間外交推進協会の経済文化委員でもあり、ロシアのマリインスキー劇場やボリショイ劇場で能の公演をしています。
ナルイシキン長官は、日本の高い水準の芸術をロシアに紹介したことにロシアの人たちが感謝していると話していました。ついでに私のコメントを付け加えれば、ロシアの人たちの日本文化に対する関心は想像以上に根強いものが有ります。ロシアとの関係を考える上で文化は一つの鍵です。
先月ロシア文化のリーダーである指揮者のゲルギエフがロンドン交響楽団を率いて日本公演を行いました。過密な公演日程を縫ってオーディオ専門誌ステレオサウンドの原田勲会長と食事をしましたが、その時にゲルギエフがぜひ呼んでほしいと言ったのが坂井音重さんでした。洋風しゃぶしゃぶとワイン王国の社長でもある原田さんおすすめのワインで大いに盛り上がりましたが、その時にゲルギエフがしきりに真似をしてみせたのが、坂井さんの能の所作です。
静かな動きの中に力強さとリズムがある動きを繰り返し真似して、しきりに賞賛していました。今回の日本公演でも彼はタクトを持たずに指揮しましたが、私は彼の動きの中に能楽師の動きと共通するものがあると感じました。ナルイシキン長官の朝食会にはベールイ大使も同席していましたが、嬉しかったのは私がその時のゲルギエフの物真似の話をすると、私が作ったゲルギエフのドキュメンタリーを見れないかと言ったことです。NHK時代に作った特集番組「戦争ではなく音楽を~指揮者ゲルギエフの世界~」とBS日曜特集「希望を振る指揮者ゲルギエフ」を大喜びで届けました。
ラジオのお知らせです。 12月15日から19日までモスクワに出かけ、民間外交の役割についてのフォーラムに参加してきます。世界各国からの参加者があり、どんな話になるのか。結果は帰国の翌日20日朝8時5分から10分ほどNHKラジオ「時の話題」でお話ししたいと思います。お耳に入れば嬉しいことです。
*************************************************** 小林 和男 ジャーナリスト 作新学院顧問 下野新聞客員論説委員 日本エッセイスト・クラブ賞審査委員 民間外交推進協会日ロ文化経済委員 サイトウ・キネン財団評議員 日墺協会理事 自宅&事務所 〒215-0018 川崎市麻生区王禅寺東2-44-19 Tel&Fax 044-955-9987 E-mail
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最終更新日 ( 2011/01/04 火曜日 23:26:07 JST )
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