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【12月4日】桜友女声合唱団定期演奏会 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2010/12/14 火曜日 11:47:24 JST

 透明な響きに一層磨きがかかった高い音楽性

圧巻!西村朗委嘱初演「花紅~みだれ髪より」(写真)

    

桜友女声合唱団(共立女子大学合唱団OG)の第16回定期演奏会が124日(日)に紀尾井ホールで行われ、大学合唱団卒業生による合唱団のレベルを遥かに超えた美しい響きと高い音楽性で満員の聴衆を完全に魅了した。 

この日のプログラムは前半が「Choral Hymns from the Rig Veda」(G.Holst作曲)と、「20世紀のモテット集」。ホルスト作品は成田しのぶのハープ、モテット集は高木美来のピアノが入った。この合唱団の特徴であるノンビブラート発声による透明な響きとしっかり訓練された言葉は、欧州の一流合唱団を彷彿させた。24人とは思えない厚みも見事で、一人ひとりの徹底した発声への取り組みが伺えた。

 

前回、予期せぬアクシデントで直前に出演不能になった指揮者の大谷研二氏が真っ赤なステッキをつきながら登場、復帰を祝福する暖かい拍手が会場いっぱいにこだました。黒の長いジャケットに身を包んだ姿に、友人は「星の王子さまみたいなシルエットね!」とため息をついていた。思えばこの合唱団は19年前に大谷氏が登場してから、年々目を見張る意欲的な挑戦を続けた。発声も根本的に変えられた。それだけに大谷氏の復帰はメンバーにとっても最高の喜びだったに違いない。

 

後半はまず武満徹作曲の「混声合唱のための『うた』」から5曲。このステージはアカペラで、Ensemble PMSの男声12名と現役の共立女子大合唱団の上級生数名が賛助出演した。PMSは混声合唱団として長いキャリアを持つ男声部門のメンバーだけに、混声の歌い方を熟知するベテラン揃いで、完成された混声合唱の魅力が充満するステージになった。武満徹の作品が素晴らしく、筆者は“○と△の歌”の素朴な詩(武満徹)による作品にとりわけ心を奪われた。混声は素敵な挑戦で客席の満足度も倍増した。

 

この日の圧巻は第4ステージで、西村朗氏に委嘱した「女声合唱とピアノにための組曲『花紅(はなくれない)~みだれ髪より』(ピアノ:高木美来)初演。テキストは与謝野晶子の短歌で、“おごりの春の”“はたち妻”“くろ髪の”の3曲からなる何とも素敵な作品だった。与謝野晶子の女性らしいしなやかで美しい流れと激しい情念の燃焼が交錯する世界を、西村氏は桜友の豊かな表現力を想定して仕上げたというだけに、メンバーはうっとりするような見事な演奏で会場を感動と興奮に包み込んだ。他の合唱団が、この初演を超える演奏をすることは不可能ではないか、という気さえした。今思い出してもぞくぞくする。西村氏の思いが完璧に大谷氏の捧に乗り移っていたし、ピアノの美しさも秀逸だった。

 

この作品が誕生した背景がまた素晴らしい。前回の演奏会で予定されていた「秘密の花」を、直前のアクシデント(大怪我)に見舞われた大谷氏に代わって、急遽、作曲者の西村氏がピンチヒッターで指揮台に立った。その時、西村氏は桜友の優れた表現力とメンバー一人ひとりの熱い音楽への思いをしっかり受け止め、今回は彼女たちの為に書き下ろす運びになったという。演奏前に西村氏と大谷氏の対談が行われ、こんな話題を楽しく暖かく語り合った。両氏と桜友の深く強い絆を感じさせられた心豊かなひとときだった。

 

桜友女声合唱団の第1回演奏会(1980年)に、筆者はいそべとし男声合唱団の一員として賛助出演したこともあって特別な親近感と敬意を持ち続けている。それは別にしても、彼女たちの音楽へのひたむきな取り組みや、常に高いところを目指す熱意に感嘆の他ない。それでいていつも謙虚だ。こんな情熱が彼女たちを若々しく魅力的な姿で舞台に立たせる由縁でもあろう。大谷研二という指揮者にめぐり合ったことも大きな転機になったが、一層の研鑽と発展を祈りたい。【Latvija編集長 徳田 浩】

 

西村朗・大谷研二両氏による心豊かな対談 

混声ステージ 武満徹作曲「うた」

最終更新日 ( 2011/01/04 火曜日 23:25:55 JST )
 
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