Home   トピックス   ラトビア語教室  
2024/04/25 木曜日 20:56:32 JST
Home arrow トピックス arrow 2010年9月のニュース arrow 【9月12日】NHK「祖国」ビデオ鑑賞会
メインメニュー
Home
トピックス
協会案内
ラトビア音楽情報
協会ニュース「latvija」
検索
お問合せ
ラトビア語教室
協会合唱団「ガイスマ」
管理用エリア
【9月12日】NHK「祖国」ビデオ鑑賞会 PDF プリント メール
作者 webmaster   
2010/09/12 日曜日 14:47:35 JST

 1991年にNHKスペシャル「祖国」のタイトルで放映された番組の鑑賞会が97日、ラトビア共和国大使館で行われ、終った瞬間、30名の参加者から感動の大拍手が贈られた。この番組は、独立直前の「歌と踊りの祭典」をNHKが取材したもので、この祭典を軸に祖国独立への思いを描いた作品。バルト三国独立の動きにロシアが軍事圧力をかけ、ラトビアも市民に死者が出るほど苦難の歴史を経験した。取材に協力したカメラマンも銃撃に倒れるなど命がけの取材で完成したこの作品は、当時ゴールデンタイムに放送されて日本でも大きな感動を呼んだ。この日は、この番組を企画した小林和男氏(当時モスクワ支局長)が製作の背景などを解説した。以下、この鑑賞会を推進した中嶋勝彦運営委員の報告を掲載する。【Latvija編集室】 

  NHKスペシャル「祖国」を鑑賞して

中嶋勝彦(当協会運営委員

 

19年前にNHKスペシャルで放映されたラトビア独立への苦難の歴史を描いた「祖国」のビデオを鑑賞する会が97日夕、ラトビア共和国大使館で開かれました。30名もの方々が集まり、長野や神戸からお見えの方々もおられました。ヴァイヴァルス大使の歓迎を受け、元NHKモスクワ支局長小林和男さんの番組解説を聞いてから皆さんの目はTVに集中。70分間番組を食い入るように見つめ、映写が終わると拍手が起こり、さらに感動の会話があちこちから聞こえてきました。

 

地政学的にも周囲の国に翻弄されてきたラトビアは、1940年ソ連に併合され政治はもとより言語、経済、文化を強制され自由が奪われてきました。ゴルバチョフのペレストロイカの下、19905月激しい議論の末、ついに議会で独立を採択しました。ソ連が崩壊しはじめていたとは言え、19911月には独立を阻もうとソ連は特殊部隊をリガに派遣し発砲、多くの血が流されました。

 

それから日が浅い、同じ年の5月にNHKがラトビアの苦難の歴史、独立への国民の思い・動きを伝えるこの番組「祖国」をゴールデンタイムに放送したのです。その番組を企画したのが当時のモスクワ支局長であった小林和男さんでした。

 

小林さんはモスクワでラトビア出身の映画監督と出会い意気投合。ラトビアでのソ連の不条理さをこの男なら描けると見込んで出来上がったのが「祖国」。ソ連の軍事圧力で独立が見通せなくなりながらも逆戻りはありえないと国民の強い決意を小林さんは感じ取り作品を完成させたとのこと。フィルムを回したカメラマンは軍事介入時狙撃され即死、ウマがあった監督はその後事故で亡くなり、葬儀のために何度かリガを訪れたことなど、辛い記憶を語ってくれました。

 

番組の内容は、独立が採択された直後の合唱祭に多くの国民が喜び歌う明るいシーン・合唱の声の合間に、軍事介入で亡くなったカメラマン、アフガニスタンで戦った若者、チェルノブイリの被害者、80万人と言われるシベリアに送られた人びと、生き延びた人たちなどの哀感、憎悪、ナチス時代・ソ連併合下の合唱祭の映像などが挟み込まれたものです。祖国の独立への強い思いが迫ってきます。

 

今回の鑑賞会には人の縁がありました。NHKで要職を終えた高校時代の親友と旧交を温めている時に2年前のラトビア合唱祭に行ったことを話した処、ラトビアの番組制作の責任者をしたが辛い思いがあるとビデオを送ってきました。ラトビアを詳しく描いた内容に驚き加藤専務理事に見ていただいたところ鑑賞会を開こう、制作者に話してもらおうとなりました。旧友の横須賀鎮夫君に伝えたところ企画した小林和男さんに話してもらうのが良いと紹介してくれました。小林さんが快諾してくださり、鑑賞会に旧友と共に駆けつけてくれました。

 

小林さんは命を賭けた取材も数知れず気骨のあるジャーナリストであり、NHKを退職された今も数少ないロシアウォッチャーとして放送、執筆、講演に活躍されています。NHKのキャスターも務めましたから皆さんも顔なじみのはずです。最初の著書「エルミタージュの緞帳」はゴルバチョフ、エリツィン大統領など政府要人との面談や多くの取材体験を交えてソ連崩壊の背景を鋭く描いたもので日本エッセイストクラブ賞を受賞しています。「祖国」についても詳しく書いてあり、音楽に関する記述も多く一読をお奨めします。

 

皆さんビデオを真剣にご覧になり、ラトビアへの理解を深められたと思います。ヴァイヴァルス大使も感動され、あのまだ混迷の時期にNHKが番組を放送したことの意義を感じていました。小林さんが皆さんの関心の高さに驚いていましたが、伺ってよかったとのメールを翌日いただきました。

 

鑑賞会後、ワイン片手に懇親。ヴァイヴァルス大使、オレグさん、皆さんが小林さんと懇談。パーティを途中で切り上げる予定だった大使が最後まで残りビデオについて語り合っておられました。参加者にはラトビア合唱祭を訪ねた方々が多く、視聴したビデオと思い出を重ねて尽きることのない話題で盛り上がりました。

 

最後に、皆さんに喜ばれる鑑賞会になったことを喜び、お手伝いをした甲斐があったと人の縁に感謝しています。(2010.9.8. 記) 

 
最終更新日 ( 2010/09/12 日曜日 14:48:59 JST )
 
< 前へ   次へ >
ラトビア関連写真(写真随時追加)
IMG_0507.JPG
サイト内記事検索
人気記事